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腸内細菌とは?超入門【保健師がわかりやすく解説】

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今回のテーマは「腸内細菌」です。
みなさんは腸内細菌について、どのような印象をもっていますか?

腸内細菌ってなに?
体にどんなことをしてくれるの?
細菌なのに体にいいの?
細菌だけど攻撃してこないの?
どうやって体に入ってくるの?


本記事では、これらの疑問をわかりやすく、解説していきます。

 

【もくじ】
1. 腸内細菌とは?超入門
2.腸内細菌は体を守っている
3.腸内細菌は心も守っている
4.まとめ

※本記事では太字に目を通すだけでも内容を理解できるようになっています

 

1.腸内細菌とは?超入門


腸内細菌がなくなってしまえば私たちは死んでしまいます

腸内細菌はそれほど身近で、なくてはならないものなのです。

私たちの体には約100兆個の細菌が住んでおり肌、内臓といったほぼすべての場所に細菌がいます。

この100兆個の細菌は、重さにすると1~2㎏(1)で、体からすべての細菌を没収すれば体重が1~2㎏減ります。(そんなことはきませんが...)

そして、人間の細胞の数は60兆個と言われており、圧倒的に細菌の方が多いです自分の細胞よりも多くの「自分でない細胞が」体を構成しています。

人間の細胞はコピーして増えますが、このコピーが結構大変な作業で、コピーを間違ってしまうと体に不具合いが出たり、がん細胞になったり...

そういったリスクもあるので腸内細菌に遺伝子情報を持たせ、腸内細菌が持っている遺伝子は細胞で管理しなくていいように調整されています。

そのもっている遺伝子の数は細胞の100倍と言われていて、99%の遺伝子は腸内細菌が持っていますここを管理してもらうことで、私たちは正常に成長していくことができるんです。

つまり、腸内細菌がいないと99%の遺伝子がごっそり消えるので生きていけなません。普通に生きていくだけでも腸内細菌の存在が必須であることが分かりますね。

他にも、こういった疑問が出ると思います。

「赤ちゃんは無菌で生まれてくるのに、どこから腸内細菌が体に入ってくるの?」

赤ちゃんは、生まれるまで無菌の状態で成長し、生まれてから少しずつ細菌を集めていきます。

最初の細菌はお母さんの産道からもらいます

細菌は、外の世界で生きていくための最初の贈り物で、お母さんの持つ腸内細菌セットをある程度もらうことができます。

これが帝王切開であった場合は腸内細菌がもらえないので、理解のある医師であれば腸内細菌移植を検討してくれたりします。

生まれた後はお母さんに抱っこしてもらうことで、皮膚の常在菌をもらいます。その後は母乳からビフィズス菌をもらい、少しずつ体に細菌を増やしていきます

母乳栄養がいいと言われているのはこの腸内細菌や免疫系の物質がもらえるためです。

そして、赤ちゃんは床をはいはいしたり、机やおもちゃをなめたりして、家にいる腸内細菌を体に取り込んでいきます。その後は食材にいる細菌、外に出ると土にいる土壌菌と触れ合いながら少しずつ体に細菌をストックしていくんです。

ここで面白いのが、細菌たちは自分たちのことを、腸の粘膜という面接官に売り込みます。ここで合格の出た腸内細菌が体に取り込まれるという仕組みになっています。この仕組みがあるので、悪い細菌は体に取り込まれても外に出されます

こうやって体に細菌を取り込み、その細菌に体を支えてもらう。
これが腸内細菌の大まかな概要になります。

2.腸内細菌は体を守っている


腸内細菌は体の健康を
守っています。

腸内細菌の働きとして一番有名なのは免疫です。
そして、免疫が落ちてくると最初に出てくるのがアレルギーです。

今回は免疫を例に腸内細菌の解説をします。
少し歴史を振り返りますと、日本人の花粉症第1号が1961年(2)に報告されました。

それまで日本では、花粉症という概念はなく1960年アメリカの論文にも「日本人はアレルギーにならない民族」と報告されています。

しかしながら、今はアレルギーの多い民族と言われ、以前と比較すると腸内細菌の数は3分の1になり、食物繊維の摂取量も減りました

この背景が免疫機能の低下に関係しています。

腸内細菌とアレルギーの関係を簡単に解説しますと、

  1. 善玉菌が腸内で敵に立ち向かうための基地を作る
  2. 食物繊維を栄養に武器を作る
  3. 武器と同時に酪酸(盾)を作る
  4. 盾で進入を防ぎ、武器で反撃する

こんな感じです。
人間の消化器は口から肛門まで外の世界に繋がっているので、腸内細菌に消化管からの侵入を守ってもらう必要があります。

腸内細菌の数が減るという事は、上記の機能が制限されるという事になります。

ほかにも、腸内細菌は「Th17細胞」という「免疫細胞の司令官」を作り出す働きも担っています。

細胞にはT細胞という外敵を攻撃する細胞がおり、外敵が来ると敵のデータを分析したり、攻撃したりします

しかし、このT細胞は自分の意志で動くのではなく、命令されて動きます

命令するのは、先ほど紹介した「Th17細胞」。「T細胞の進化系」です。

T細胞の進化条件は、SFBという腸内細菌に刺激されることです。

このSFB(セラメンテッド・フィラメンタス・バクテリア)が小腸に突き刺さることで小さな炎症を起こします。その炎症に刺激されたT細胞がたまらずTh17細胞に進化を遂げるといったところです。

ピカチュウにかみなりのいしを与えてライチュウに進化させるように、T細胞にSFBを与えてTh17細胞に進化させる感じです。(逆にわかりにくいかな...)

このSFBがないと免疫機能が上手く働かないので、腸内細菌なくして、体の平穏は守れないようになっています。

おおまかにメカニズムをまとめると以下のような感じです。

  1. SFBが小腸に刺さる
  2. 小さく炎症が起こる
  3. T細胞が刺激される
  4. Th17細胞に進化
  5. Th17細胞が的確な指示をだして敵を倒す

こんな感じです。
SFBが刺さることで免疫系が安定します。

他にも、腸内細菌の多様性が増すことで、悪い細菌が浸入する隙がなくなったり、兵士として戦うものが増えたり(3)、体を守るためには欠かせないものとなっております。

ちなみに、腸内細菌がわたしたちを攻撃しない理由ははっきりしていないとのこと。

共生環境、つまり、住みやすい住居を提供してくれる私たちに、家賃として健康を守ってくれているのではないかと言われています。

3腸内細菌は心も守っている


腸内細菌は体だけでなく、心も守っています。

昔から「腹が立つ」、「肝が冷える」など情動と腹部を結びつけた表現があり、腹部と感情が結びついていると感じられてきました。

このような感覚が起こるのは、腸は脳と神経(迷走神経)で繋がっており(4)、その神経を通して、会話しているからです

栄養に偏りが出ると腸は「脂肪分が足りないから脂肪分を摂りなさい」といった指令を脳へ送ったりもします

そして、腸や腸内細菌の働きは脳と会話するだけでなく、不安やうつ症状の改善などメンタルヘルスの役割も担っています。

少し話が変わりますが、脳は炎症を起こすことで、落ち込みが激しくなったり。不安が強くなったり、うつ症状が出現すると言われています。

反対に炎症が収まることでこれらの精神症状を改善することができます。

ここで、話を腸内細菌に戻します。

腸内細菌は食物繊維を食べることで「酪酸」という物質を分泌。この酪酸は小さいので脳の門(脳関門)を通ることができます

脳の門を通った酪酸はそこで脳の炎症を抑えます(4)。

脳の炎症が抑えられることでメンタルが改善します。

これが腸内細菌が酪酸を作ってメンタルを改善するメカニズムになります。

他にも、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の90%は腸で作られており、神経を介してセロトニンを脳に伝えたり、「セロトニンを作りなさい」と脳に指令を送ったり、腸内細菌はメンタルの改善に一躍買っていることが分かります。

今回のまとめ

今回の記事では腸内細菌の大まかな概要を見ていきました。
内容を以下にまとめます。

 

・腸内細菌は、私たちの細胞より多く体に存在する

・生まれてから少しずつ体に細菌を増やしていく

・私たちの体を外敵から守り、心も守ってくれる

 


こんな感じです。
大まかに腸内細菌は「いい奴」という事が分かってもらえたのではないでしょうか。腸内細菌については今後も様々な方面から解説していきたいと思います。


【参考文献】

(1)平山和宏(2014),腸内細菌叢の基礎

(2)独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター(2018),花粉症の謎と対策

(3)Takeshi Tanoue, Satoru Morita(2019),A defined commensal consortium elicits CD8 T cells and anti-cancer immunity

(4)Department of Endocrinology and Metabolic Diseases(2008),Gut-brain axis.

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